どんな本なのか?
プレゼン資料の作り方を説明した本。
と言っても、いわゆるパワポの使い方やTipsを網羅した本ではない。
資料作成のゴールを「思い通りに相手を動かす」として、そのためにどのような資料を作ればよいのか、科学的に分析した本である。
誰が書いたのか?
著者は、越川慎司さん。元マイクロソフトの執行役員で、パワーポイントの事業責任者。現在は業務変革のコンサル会社を経営している。
なぜ、この本を読もうと思ったか?
パワポで資料作成する際、多くのことを説明したいと考え、説明の多い冗長な文章で書き散らし、必要以上に多くの色を使うなどしていた。
しかし、相手からは「何を言っているのかわからない」とか「要は何を言いたいの」と言われている。
もっと、簡単に作成できて、わかりやすい資料を作るスキルが必要と感じたからである。
本書の内容
826人に700時間以上かけヒアリングし、5万枚以上の資料をAI分析して、「相手を動かす勝ちパターン」を導き出している。
そのパターンの一部を紹介すると、
1スライドの文字は、105文字まで。3色以内で、フォントはメイリオ24pts以上。
重要な項目を、対角線上に配置して視線を誘導する。強調したい部分の周りの余白を大きくする(スポットライト効果によって余白内が強調されるため)
グラフの色も3色以内に収め、数字だけでなく、インサイト(気づき、学び)も記述する。
その施策を行ったことで、どの様に変化するのか、数字で記述する。
矢印は5つ未満。アイコンは極力少なくする。
また、企業ロゴを全ページに入れている資料があるが、内容よりロゴに目が移り、読む人の集中力が途切れてしまう。
そのため、企業ロゴやURLは、表紙と最終ページ(ご視聴ありがとうございましたなどが記述されているページ)だけにする。
ページ番号がないと、質疑応答の際、余計な手間がかかる。そのため、右上にページ番号を入れる。(なぜ下でなく、右上かは明記されていないが)
個人的に面白いと思ったのが、経営者は、実は論理的でなく感情で物事を決定しているという調査結果。
経営者は、短期的な利益でなく、未来想像価値を重視している。明るい未来が期待できる提案を喜ぶということらしい。
よって、経営者にプレゼンする場合は、明るい色を基調として、輝かしい未来が想像できるような提案にしたほうが良いようだ。
また、本書ではプレゼン時にレーザポインタではなく、マウスのポインターを使用したほうを推奨している。
理由は、レーザポインタでは、どうしても指している部分が揺れてしまい、プレゼン者の緊張が見ている人に伝わってしまうため。
レーザポインタを買おうかどうしようか迷っていたので、とりあえず保留しておきます。
資料の見た目のみでなく、どのような準備を行えばよいのか、成功するプレゼンのテクニック、時短術なども書かれていて参考になる。
まとめ
似たような本は他にもあるが、本書はタイトルにもあるとおり「科学的」な実証で「正しい資料作成」のパターンを導き出している。
例えば、「いきなりパソコンに向かわず、まずは手書きで大枠をきめてからパワポで資料作成しましょう」ということは、多くのプレゼン本に書かれている。
本書では、「いきなりパソコンに向かった」場合と、「手書きで大枠をきめた」場合で、資料作成の作業時間を4513人を対象に実験したところ、後者のほうが20%作業時間が短縮されたとある。
多くの時間と手間をかけて導き出した必勝パターンなので、信頼性が高い本と感じた。